北海道胆振東部地震ではご心配をお掛けしました
去る9月6日、夜中の3時頃地震が起きました。
被災された皆様、そのご家族の方々には心よりお見舞い申し上げます。
電話が通じなかったり、物流の乱れによりお肉のお届けをお待たせしたりと皆様にはご心配、ご迷惑をお掛けしましたことお詫び申し上げます。
まさか全道的に停電になるとは考えもしませんでした。
幸い当牧場では牛も人も無事で、電気が復旧するまでの約丸一日、古い発電機を回して牛の世話と保管しているお肉の保守に努めました。
たまたま代表が不在で、なかなか連絡が取れず不安なこともありましたが、皆様に温かい励ましのお言葉をかけていただき、どれほど元気と勇気を頂いたことでしょう。
気持ちを奮い立たせ、場内の皆で知恵を出し合い、地域の方々の手も借りながら乗り切ることが出来ました。
心を寄せてくださり、本当にありがとうございました。
この経験と気持ちを忘れずに、日々感謝しながら牛達と共に元気に穏やかに過ごしていきます。今後とも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
9月欧州オーガニックツアーに参加して
放牧地の整備や牧草収獲など現場の業務が山積みの中、後ろ髪をグイグイ引かれつつ、現場をよく知っている上田さんに是非一緒に来てほしいとお声がかかり、2月に引き続き欧州オーガニック視察ツアーに上田代表が同行して参りました。
前回は欧州有機農場の現場を日本の飼料メーカー、加工業者、流通業者、シェフ、生産者など様々な業種のメンバーで視察することにより、日本での有機畜産の取組の流れをイメージするという目的でした。
今回は、日本でも最近よく耳にするようになった、AW(アニマルウェルフェア、家畜福祉)の欧州でのとらえ方及び、それに対する投資家や企業の視点を、現地の評価団体から情報を得てきましたので、参考までに。
ヒューマンリーグ
⚫ ヒューマンリーグ…AWの観点においてサプライチェーンから鶏のケージ飼いを無くすことを目的とした啓発団体。
現在58ヵ国で70名が活動している。平飼い卵は一通り浸透したとし、現在はブロイラーの成長率を適正化させることに移行している。
⚫ 世界の動き…アメリカにおける平飼いの鳥の割合は2010年に4.4%だったが現在15.6%へ。イギリスは2006年から上昇し、放牧・ケージフリー50%以上。
⚫ 動物は感情があり、喜びと痛みを感じることができる。
⚫ 3つの価値ポイント:精神的健康、肉体的健康・自然な生活(これらのファクターが融合されているのが一番いい状態)
⚫ AWとは、5つの自由がうたわれているが、それに加えて、「家畜がポジティブな経験をする機会を得る自由」も考慮しなければならない。
⚫ 日本における有機JAS法、有機畜産は国連の基準が元になっている。デメター(有機として世界一高いレベルの認証団体)などもEU法+αの基準で行われている。もちろん、オーガニックの中にAWが位置する。最近AWという言葉がひとり歩きしがちだが、AWはオーガニッ
ク・有機の中に位置づいており、AWの方がレベルが高いということではない。

BBFAW(ビービーフォー)
⚫ BBFAW…企業における家畜福祉への取組を評価する団体。2つの団体と協同で行っている。日本にはまだ窓口がない。AWのエキスパートチームがある。
⚫ 評価基準…OIE(国際獣疫事務局・別名:世界動物保健機関)を基準とし、6段階評価。
⚫ 7つの鍵となる項目:畜舎の閉鎖、クローニング・GM家畜、成長促進ホルモン、習慣的な(予防的)抗生剤使用、習慣的な怪我、と畜前のスタンニング、輸送は8時間以下⇒これらは絶対的な禁止ではなく、動物福祉を保つためにどのような対策がされているかをチェックする。陸・海におけるAWの課題を洗い出し、その土地にあった方法を考えていくという。
⚫ 2012年評価開始、評価対象企業68。そのうち46%の企業がAWポリシーを発表していたがパフォーマンスレポートは0。この時点ではまだ消費者の意識に企業が追い付いておらず、投資家にとってもわかりにくい状況。
⚫ 2017年、対象企業110。75%がAWポリシーを発表、54%がレポート提出。72%がAW向上目的を公表。企業がAWに責任を感じるようになった。
⚫ 2018年。対象企業150(23ヵ国)、日本では昨年からイオン、セブンが対象(現在6段階評価の一番下)。今年から明治、マルハニチロが対象に。⇒投資家目線で可視化されたものみ評価材料にしているため、公表されている企業情報からしか評価しない。日本ではまだ多くの企業がAWに関するレポートを出していない。
⚫ 19兆円の資産がある23の機関投資家が世界宣言に署名。7年前はAWが課題でもなかったが、今は大きな力を持つ機関投資家が重要視しているという現実。金融機関の融資基準には含まれてはいないが、世界銀行との話は始めている。
EUオーガニック事情
⚫ 1980年代から、食料自給率の向上と引き換えに地下水・土壌汚染など、農業による大規模な環境破壊が注目されたことにより、EUでオーガニックの思想が広まった。
⚫ 世界で初めてオーガニック認定基準をつくり、オーガニック先進国といわれているイギリスでは「健康な土壌が健康な植物を育み、そ
れが健康な体を生んでいく」という基本理念のもと1946年に「Soil Association(ソイル・アソシエーション/英国土壌協会)」が設立された。EU規則やその他の国内基準と比較しても、より条件の厳しい基準を設けるとともに、オーガニックの普及にも大きく貢献した。
⚫ ドイツでは、第二次大戦後、化学兵器を生産していた企業らが化学肥料を開発。化学肥料を大量に使用した農場を行い、土地がやせてしまった。シュタイナーが1924年にバイオダイナミック農法を提唱していたが、この頃はまだ少数派だった。
⚫ ユーロリーフ「EU産有機認証物マーク」…EUの有機農業規則に従って生産された農産物であることを証明するマーク。加工品の場合、農業成分の95%以上が有機成分であることを表す。
⚫ その他EU基準よりも厳しい独自基準をもつ認証機関…デメター:一番厳しい基準を設けている、ビオランド:会員数が一番多い、ナチュアランド:会員数ドイツ国内3,000件、世界で45,000件。
⚫ スーパーではこの1年でオーガニックだけでなく、ベジタリアン※・ヴィーガン※向け食品とフリーフロム※商品が急激に増えている。コーナーを作る店舗も増えた。
※ ベジタリアン:一般的肉や魚を食べない、ヴィーガン:更に卵・乳製品・はちみつも食べない、フリーフロム:例えばNon-GMO(遺伝子組み換えでないもの)やグルテンフリーなど ”○○が入っていない”商品のことで、元々はアレルギーのある人のためのもの
⚫ バイオダイナミック農法を実践しており、デメターとビオランドに属しているボウクホフ農場も視察し、ヤングブルも見てきました。

実習生からお礼の手紙が届きました
8 月に私たちの牧場で実習をしてくれた子から、嬉しいお便りが届きました。
今後の人生に何かプラスになるようなものを、私たちの牧場での実習を通じて得てくれたらいいなと思います。