北十勝ファーム便り

letter

北十勝ファーム便り NO.32

治に居て乱を忘れず
弊社の上田代表が大切にしている言葉です。
平和な世にいても、万一のときに備えることを 怠らないという孔子の教えで、パナソニック 創業者の松下幸之助さんが社員への話にも 用いていた言葉です。
穏やかな、幸せな日々を送りたいというのは 私たち誰もが欲するところです。
しかし、何にでも波はあり、平和に慣れてしまうと苦しかったことを忘れ、いざ逆風になり始めると慌てふためくのが人間なので、楽しむのは良いが、いつ風が吹いても対処できるように 心構えを養っておかなければならないとのことです。
畜産業では、BSE、口蹄疫、東日本大震災のセシウム問題など、牛の頭数が大きく減るような事がありました。
今日の豚コレラで中国では豚の数が激減しているようですし、鶏も鳥インフルエンザなどの影響があります。
しかし、病気が流行ったり事故が起きても、日本からその職業がなくなるということはありませんでした。
私たちの牧場も、その時々の波に加えグループ会社の倒産など、今まで何度も苦しい時期がありました。
国の政策もありましたが、人に恵まれ、仲間に恵まれ、なんとか踏ん張ってくることが出来ました。
その時頭にあったのは、辛い時期に落ち込んでいるのは皆一緒。
例えば、大勢で酒を飲みに行って、次の日二日酔いで寝て居る人も居れば、朝早く起きて仕事をする人がいる。
皆で落ち込んでも、先に起きられる人、立ち上がった人、けがが少ない人は強い。
風邪をひくのは問題提起だと思って、考え直す機会にする。
朝起きて命があればなんとかなる、そうやって皆で生きていけたらいい。
ということでした。
現在、世界では各地で紛争があり、大規模な移民が発生して今日の食事もままならないような人々がいる中で、日本はまだまだ過去の戦前のようなことにはなっていません。
国の政策が悪いだとか非難をするのは簡単ですが、今だからこそ「治に居て乱を忘れず」。
右往左往することなく、冷静に、心を一つにして耐える時期ではないでしょうか。
一度味わった美味しいものは忘れられないものです。
老舗と呼ばれるお店にもお客が入らなかった時期があったのではないでしょうか。
長くご商売しててる方々がどうしてきたのか、耐えて守っていれば美味しいもの、楽しいところにはまた足が向く。
そう思って、私たちはこんな時こそ、牛が心地よく過ごせるように、肉の味を落とさないように、粛々と牛に向き合います。