北十勝ファーム便り

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北十勝ファーム便り NO.42

春の訪れ…
冬の初めは雪が少なく春先の干ばつを心配していましたが、3月にまとまって降ったことにより例年通りのようで安心しています。
3月下旬にはフキノトウが一斉に顔を出し、雪解け水が場内にいくつもの小川を作りながら流れます。
4月に入り、朝方水たまりの氷が張るということも少なくなりました。
自然界の植物の成長が活発になるとき、それは微生物たちの活動が活発になるときでもあります。
細菌由来の子牛の下痢が増え、分娩ラッシュで増えた子牛たちのお世話に一段と手がかかる時期なので、いつもに増して作業効率と慎重さが求められます。
生まれて3か月齢まで、ここで体調を大きく崩さずにいれば、それから先はほとんど何事もなく成長します。
母子を毎日しっかり観察し、お母さん牛たちと一緒に子牛を育てていきます。





松林さんが実家の農業を継ぐべく旅立ちました(松林さんからお手紙)
学生の頃、「父親と同じフィールドに立ちたい」と思い、右も左も分からないまま畜産の世界に飛び込みました。
入社したての頃は筋力も体力もなく、20kgのエサ袋もブロック型に圧縮された麦稈ばっかんも担げない。
牛たちの顔がみんな一緒に見える。どの子がどんな状態なのかも分からない…
「自分には畜産の仕事は向いてないかもしれない」と、何度も何度も焦って悩んだこともありました。
悩みながらも精一杯過ごす中で、ふと子牛を見ている時に
「この子は今自分がなんとかしないと元気にならないんだよな。自分がここで落ち込んでいる場合じゃない。」
と思うようになり、時間をかけて段々牛たちと向き合えるようになりました。
入社して初めて1人で分娩処置をした牛、初めてミルクをあげた牛、初めて自分に懐いてくれた牛、他にも5年間の中で出会ってきた牛たち、北十勝ファームで過ごした5年間は自分にとって大きな宝物です。
職場の人たち、流通に関わる人たち、お店の人たち、消費者の人たち、畜産の世界に夢持って実習に来てくれた学生の人たち、畜産はたくさんの人の繋がりで成り立っていることを学びました。
たくさんの人からたくさんの刺激を貰いました。 北十勝ファームの皆様、シェフの皆様、さまざまな流通に関わる皆様、未熟な自分を鍛えてくださり、本当にありがとうございました。「数字ばかりに気を取られずに、命を頂くことに感謝すること。さまざまな流通に関係する方、消費者の皆様が笑顔になれる牛作り。」をモットーに、実家の牧場でも更に気を引き締めて精進して参りたいと思います。 令和3年3月28日 松林 実国