北十勝ファーム便り

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北十勝ファーム便り NO.36

音別放牧地へ母子約230頭入牧完了
「坊や~!坊や~!」「おかあさ~ん!どこ~!」
2時間ほど離れていた母子が駆け寄り、母牛に背中を舐められながらお母さんのおっぱいを、しっぽを振りながら夢中に飲んで甘える子牛たち。何度見てもあったかい気持ちになる光景です。
「夏山冬里」と呼ばれる、牧草の茂る時期は母子で山へ放牧、雪の降る時期は牛舎で冬ごもりするという東北・北海道地域にあった飼い方をする日本短角種。
今年もしっかりと草丈が伸びた放牧地へ、家畜車で大人とこども別々に移動し放牧を開始(入牧)しました。
草地に放すと少しの間離れ離れになっていた親子が互いに呼び合い、再会します。
入牧作業は、こうして無事に親子がペアになったのを確認して放牧地を離れます。
これから秋まで、放牧地の周りで冬に向けて牧草の収獲作業もしながら、2日に一度はチェック表を持って放牧地を歩きまわり、牛たちの健康状態を確認します。
太平洋を望むこの放牧地には、海から霧があがりミネラルを多く含む良い牧草が育ちます。
気温も冷涼で、暑さに弱い牛たちにとってはとても過ごしやすい土地です。
春に40kgほどで生まれた牛は、母牛の乳と青草とで秋の下牧時には大きい牛で300kgにもなるほど大きく育ちます。
足腰が強く、好き嫌いが少なく良く食べ、乳量も多く子育て上手な短角牛の良さを十分に活かした昔からの飼い方です。
牛に合わせて山を歩き回る確認作業は、時間や手間もかかり、体力的にも大変なこともありますが、鬼ごっこをする子牛たちや気持ちよく寝そべる牛たちと風を感じたり、一緒に木陰で涼むちょっとした時間が癒しだったり、牛たちを横目にトラクターで牧草収獲をしていると、忙しさの中にも心地よさを感じることができ、皆様に支えられながら牛飼いをできていることを幸せに思います。
このお便りとお肉を通じて、牛たちが感じてきた草原の心地よさが皆さんにも届きますように。