お腹のむしが鳴く①早いもので、もう7月に入ってしまいました。
七夕の季節ですね。北海道は本州よりも1ヶ月遅い8月7日が七夕になります。
さて、先月の便りで「反芻」のお話が途中でしたので、その続きを書こうと思います!
反芻とは、「一度のみ下した食べ物を口の中に戻し、かみなおして再びのみ込むこと」で、四つの胃を持ち、反芻する動物を「反芻動物」と呼びます。ウシ・ヤギ・ヒツジ・キリン・ラクダなどです。

反芻動物が口にした食物は、四つの胃の中をどのように移動するのでしょうか。
①唾液と一緒に第一胃に入り、発酵が行われる
②固形物は第二胃に送られ、ここに入った食べ物が口腔内に戻され、再び咀嚼し、唾液とよく混ぜられる
③再び飲み込んだものは第三胃に入り、さらに発酵する
④第四胃に送られ、第一胃で分解されなかったものが消化される
⑤小腸に送られ吸収される
このような流れになります。
これらの反芻動物さん達が持つ胃の中で最も大きく、反芻の中心的な役割を果たすのが、ご存じの通り第一胃です。
成牛ではドラム缶ほどの大きさにもなるこの第一胃には、細菌をはじめとする様々な微生物が多く生息しています(その数、
内容物1g当たり10~100億!)。
ウシさんが飲み込んだ食物は、この第一胃で微生物の力を借り発酵され、短期脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)が生産されます。
ウシさんは、これを吸収して自分の細胞で代謝を行い、大きなエネルギーにしているのです。
そうです、ウシさんは草を自身で分解しエネルギーを得ているわけではなく、胃に共生している多種類の微生物がつくる生成物をエネルギーにしているのです。
草を口にするのは、お腹の中の微生物さん達に食べさせるためだったんですね!
オンネトー周辺林散策でウシを知る先日、足寄町の観光地であるオンネトー(湖)周辺の森林を、森林インストラクターさんに案内して頂き、自然の循環を少し学んできました。
「植物が作り出す生態系の中で最も丈夫な細胞が細胞壁(セルロース)。
その細胞壁を分解できるのは土壌にいる微生物。
ところで、そんな頑丈な細胞壁をもつ植物分解吸収できちゃうなんて、ウシさんって凄いよね。
ウシさんのお腹の中では、土の中と同じ力が働いているんだよ。
この森の中で起こっているようなことが、ウシさんのお腹のなかで起きているんだよ。」
この言葉を聞いたとき、感激しました。
ウシさんを通じて、私達も大自然と繋がっている。
いくらヒトが管理し、理解したつもりになっていても、ウシさんは大地そのもので、まだまだわからないことだらけ。
完璧にコントロールすることは難しい。
そして、私たちが消化吸収しずらい植物を、乳やお肉として提供してくれているウシさんって、なんて素晴らしい生き物なんだろう。
改めて、その命大切に扱わせていただかなければ、と思いました。
